CBD—節操のないカンナビノイド

CBD—節操のないカンナビノイド

うつ病、薬物依存症、抗生物質の効かない感染症など、CBDが持つ多様な医療効果の可能性についての最新の研究を紹介します。
うつ病、薬物依存症、抗生物質の効かない感染症など、CBDが持つ多様な医療効果の可能性についての最新の研究を紹介します。

CBD の何がそれほど特別なのでしょう? どうしてこれほど話題になっているのでしょう? ちょっと基本に戻って考えてみましょう。

CBD(カンナビジオール)は、80年以上前に発見された1  大麻草にしか含まれない化学物質です。THC(テトラヒドロカンナビノール)を豊富に含有する大麻品種——強い精神作用を持つもの——では通常、CBD は2番めに含有量の多いカンナビノイドです。でも、大麻品種の中には、CBDTHC がほぼ同じ割合で含まれているものや、CBD の含有量がもっと多いもの、ほとんど THC を含まない「ヘンプ」と呼ばれるものもあります。2

構造は似ていますが、THCCBD は脳や全身のさまざまな受容体に対して異なった形で作用します。どちらも血圧を下げる作用があり、脳細胞の成長を促しますが、CBDTHCCB1 受容体に対しては逆の作用を発揮します。たとえば、THC が食欲を増進させるのに対し、CBD は食欲を低減させ、THC が引き起こす「ハイ」の程度を抑える働きがあります。3

全般的に言って、CBDTHC をはじめ、現在知られている100種類を超える植物性カンナビノイドのどれよりも、はるかに広範な薬理作用があります。最近の研究は、CBD が発作、炎症、がん、疼痛、ニキビ、血管弛緩などに効果を発揮するにあたって TRP イオンチャンネルが果たす役割を明らかにしています4CBD はまたセロトニン受容体と、脂質代謝および遺伝子発現を司る PPAR 核内受容体にも結合します。

この「節操の無さ」に、CB1 および CB2 受容体と結びついたエンドカンナビノイド・システムが全身にくまなく広がっているということが相まって、CBD は非常に幅広くさまざまな生理学的過程に影響を与えることができるのです。また、だからこそ、CBD の持つ医療効果に焦点を当てた臨床研究や基礎研究がこれほど盛んに行われているのです。

最近の研究でわかったことをいくつかご紹介します。これを見れば、とにかく CBD というのは非常に多くの作用があるものであるということがわかるでしょう。

有害な細菌を殺す

学術誌『Scientific Reports』に最近掲載された論文5 によれば、CBD には、多剤耐性菌に分類されるものも含んださまざまな有害細菌の毒性を中和させることが基礎実験でわかっており、そのため臨床試験において抗菌剤として利用することが可能であると述べています。純粋な CBD は、テストしたグラム陽性菌 21種類のすベてに対して、またリポ多糖細菌と、結核の原因であるヒト結核菌に対しても抗菌作用を発揮しました。

ただし CBD は、強力な抗生物質ポリミキシンB を低濃度で組み合わせるとより効果的で、厄介なグラム陽性菌に対しては特にそれが顕著でした。これは、この二つの間に相加あるいは相乗効果があり、最後の切り札であるこの抗生物質への依存度を低め、それによってその効果を持続させるのに役立つということを示唆しています。「CBD が抗菌剤として利用できる可能性が高いことを強調したい。これは主に、生命を脅かす感染症の救命治療として、グラム陽性菌に対して CBD をポリミキシンB と組み合わせて使う場合である」と論文には書かれています。

うつ病の症状緩和

最近発表された、うつ病様の行動を示すマウスの実験では、脳に対する CBD のさまざまな作用の下流経路への影響にフォーカスが置かれました。『Frontiers of Medicine』誌 2022年 2月号に論文6 が掲載された中国の研究者らの考え方は次のようなものでした—— “CBD が抗うつ薬として効果的である可能性を示すエビデンスが増えているが、その作用機序は明らかではない。一方、慢性的なストレスが神経幹細胞の分化と成体海馬神経新生(AHN)を阻害すること、AHN の促進がうつ病に対するストレス耐性を高めることはわかっている。ではこれが、CBD が抗うつ作用を発揮する仕組みなのだろうか?”

CBD の投与によって、ストレスを感じているマウスにおけるうつおよび不安の症状が軽減したという実験結果を受けて、その答えはイエスであると論文の著者らは考えます。この実験の結果からは CBD が作用する具体的な受容体や分子標的はわからないが、これまで不明だった、うつ病における神経分化や AHN の仕組みは明らかになり、CBD が抗うつ作用を発揮するメカニズムに関する洞察が得られた、と論文には書かれています。それが意味するところについて著者らの考えは楽観的なもの(「CBD がうつ病治療の選択肢となり得るということの、否定しようのない直接的証拠である」)ですが、特に人体に当てはめた場合にはまだまだわからないことが多いことも認めています。「CBD という植物性カンナビノイドが精神疾患の治療にどのような可能性を持っているかを完全に理解するためには、CBD が引き起こす神経生物学的な作用に関する理解をより深める必要があることがこの実験で明らかにされた」と論文は結んでいます。

高THCの大麻の使用量を減らす

CBD の大麻は、高 THC の大麻使用で問題を抱えている人の役に立つでしょうか? 『Frontiers in Psychiatry』2022年 3月号に掲載された論文7 はフランスで行われたアンケート調査の結果をまとめたもので、回答した大麻使用者(n=105)の 11% が、CBD を使う(主に乾燥ヘンプの喫煙)主な理由は、非合法の高 THC 大麻の使用量を減らすためであると答えています。そのうちの半数以上は、実際に高 THC 大麻の使用量が「大幅に」減ったと報告しています。

でももっと興味深いのはその次の質問への回答でした。具体的には CBD はどのような形で大麻の使用量を減らしたのか、と訊かれると、回答者のほとんどは、「大麻の離脱症状を軽減してくれる」を選んだのです(回答にはその他に、「違法な大麻のジョイントをその日初めて吸う時間を遅らせてくれる」「ジョイントに使う違法な大麻の分量を減らせる」「ジョイントを吸う間隔が伸びる」などがありました)。このことは、回答者は高 CBD の乾燥大麻を単なる気休めやつなぎのために使っているのではなく、CBD が実際に、高 THC の大麻に対する欲求を低減させるから使用しているのであることを示唆しています。

もちろん、こうした回答が寄せられた理由の一部には、フランスでは高 CBD の乾燥ヘンプは合法だが高 THC の乾燥大麻は違法であるという事情があります。でも、CBD が、あまりに高用量の THC がもたらす不快な副作用を軽減させるのは事実です。実際、コロラド州の研究者らは今年初頭、THCCBD 比が 1:1 の大麻の使用は、高 THC・低 CBD の大麻と比べ、主観的に感じるポジティブな作用は変わらず、被害妄想と不安感が大幅に少なかったと報告しています。8



Nate Seltenrich は、サンフランシスコのベイエリアに住む科学ジャーナリスト。環境問題、神経科学、薬理学を含む幅広いテーマについて執筆している。

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脚注

 

Revision date: 
5月 15, 2022

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